2019年9月 のアーカイブ

マタイによる福音書 27:62~66
「『閣下、人を惑わすあの者がまだ生きていた時、『自分は三日後に復活する』と言っていたのを私達は思い出しました。」(27:63) 

 主イエスが埋葬された翌日の安息日に、ユダヤ人指導者たちはピラトのところに行きました。「閣下」というのは「キリエ(主よ)」という言葉です。安息日に、彼らは神ではなくローマの総督を「主」と呼び、ナザレのイエスの墓を見張るよう願い出たのです。
なりふり構わず、持てる権威を総動員して主の墓の周りで右往左往する彼らは、神の御業に必死で抗う人間の姿そのものです。しかしそれでも主の復活を止めることはできませんでした。
主の復活という神秘は、安息日にピラトを「主」と呼んでいた人達に問いを残しました。「あなたにとって、死に勝る支配を持つ『安息日の主』とは誰か」。これはそのまま今の私達に向けられた問いでもあります。私達もまた、主の墓の周りでオロオロする者の一人なのです。
聖霊は、聖書の御言葉を通してキリストの御声を聞かせてくれます。「あなたが安息日に主と呼ぶ私はここにいる」。聖霊の助けを得て、私達は「イエス・キリストこそ我が主・わが神」と告白し続けるのです。

マタイによる福音書 27:57~61
「夕方になると、アリマタヤ出身の金持ちでヨセフという人が来た。」(27:57) 

 他の福音書を見ると、このヨセフは最高法院の一人であり、主イエスの弟子であることを他のユダヤ人に知られることを恐れて隠していたと言われています。
 マタイ福音書ではヨセフのことを「金持ち」と形容しています。19:22以下に、「金持ちの」青年が出てきます。「永遠の命を得る為に、これ以上何をすればいいか」と悩む青年に、主イエスは「君に足りないのは『誰を求めるか』だ」とおっしゃいました。青年は、財産以上に主イエスへの従いに価値を見いだせず、去って行きました。
 アリマタヤのヨセフは主イエスが青年に示された「誰」を見出だした「金持ち」でした。地上の富に勝る「天の富」を主イエスに見出し身の危険を顧みず、主イエスの遺体を引き取り、墓に埋葬しました。
 「彼は不法を働かず、その口に偽りもなかったのに、その墓は神に逆らう者と共にされ、富める者と共に葬られた」(イザ53:9)。ヨセフは主イエスの遺体と共に、「天の富を見えなくさせる何か」も共に葬ったのです。

マタイによる福音書 27:45~56
「イエスは再び大声で叫び、息を引き取られた。その時、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂け、地震が起こり・・・」(27:50~51) 

 キリストの死の瞬間に起こった出来事を福音書は記しています。聖書の原文では、神殿の垂れ幕は上から「裂かれた」となっています。聖書はこれを、神がご自分の神殿の垂れ幕を、ご自分の独り子の命をもって上から裂かれた御業として証言しています。
 その時、大地が揺れました。神が地の罪を裁かれる時、「地は裂け、甚だしく裂け、地は砕け、甚だしく砕け、地は揺れ、甚だしく揺れる」と預言されています(イザ24:19)。
大地が揺れるのを見てまず信仰を告白したのは、主イエスを十字架に打ち付けたローマ兵たちでした。主の十字架は、罪人と神をつなぐ道となりました。キリストの死によって「道」が切り拓かれ、「上から」の招きによって主の下に集う人々がキリスト教会とされ、今の私達があるのです。「イエスは、垂れ幕、つまりご自分の肉を通って、新しい生きた道を私達のために開いてくださいました」(ヘブ10:20)。

マタイによる福音書 27:32~44
「神殿を打ち倒し、三日で建てる者。神の子なら、自分を救ってみろ、そして十字架から降りてこい。」(27:40) 

 人々は「神の子なら自分を救ってみろ」と言います。「この子は自分の民を罪から救う」(1:21)とヨセフが天使から告げられた通り、主は「ご自分を十字架から」ではなく「ご自分の民を罪から」救うメシアでした。ご自分を救えないのではなく、ご自分を十字架に上げた人たちのために、十字架の上に留まってくださっているのです。メシアにとって十字架から降りる、ということは、罪人を見捨てる、ということでした。
 「神の子なら・・・」という言い方は、サタンの誘惑の口調です(4章)。教会がキリストの体である限り、「教会なら、自分で自分を救ってごらんなさい、信仰という十字架から降りてごらんなさい」という誘惑が追いかけてきます。「楽な道」「安易な道」「うまい話」が教会の周りにはたくさんあります。
 しかし聖書は、嵐の小舟の中で「主よ、助けてください」と祈る信仰を伝えています。私達は船が大きいから乗り込んだのではありません。キリストが乗っていらっしゃるからこの小舟に身を丸ごと乗せたのです。「私は、あなたの苦難や貧しさを知っている。だが、本当はあなたは豊かなのだ」(黙示録2:9)。

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